第三 大いなる章
〈七、セーラ〉
(セーラは言った)、──「これら三百人のバラモンたちは、合掌してお願いしています。『先生! わたくしたちは、あなたのみもとで、清らかな行いを実践しましょう。』」

▶今日、このブログを読まれている皆さんにお尋ねいたします。このセーラさんをはじめ三百人のバラモンは、ブッダの御下で清らかな行い(梵行)を実践されましたが、さてどれほどの期間を要したと思われますか?
▶四年でしょうか、それとも四ヶ月でしょうか。聖者となるのに要する日数は、人によって様々であることは以前説かれておりました。ところが驚くべきことに、このセーラ師たちは、たったの七日間で全員が聖者に成られたのです。よろしいでしょうか。機が熟しておれば「直ちに」究極の境地に達するのであります。これを頓証菩提といいます。速やかに彼岸に至るということです。阿羅漢果に達するということです。
頓漸ということ
▶頓悟と漸悟、頓証と漸証ともいいますが、一挙に悟りを得るか、徐々に悟りを得るかという昔からある区別です。結論から申し上げると、人と縁によって違うとだけ申し上げておきましょう。ブッダご自身がどちらが正解とかそういう問題提起をされていないのです。人によって様々であるとしか申されてはいません。ですからウチは頓証菩提だ、あちらは漸証だなどと議論することは馬鹿げています。
▶ただし、たとえブッダから直接教示を受けたとしても道としての順序、修行の順番というものはきちんとあります。一週間で教えられる内容です。このブログにおいても「ガナカ・モッガラーナ経」を全文掲げてありますので参考にしてください。修行の全容が簡潔に説かれています。証を得るまでの道筋が明確に示されているのです。またこれ以外の修行はないのです。これによって聖者となる道です。仏道というのはシンプルであることがおわかり頂けると思います。清らかな行いの具体的な内容であります。
(セーラは言った)、──「これら三百人のバラモンたちは、合掌してお願いしています。『先生! わたくしたちは、あなたのみもとで、清らかな行いを実践しましょう。』」